三重県 HIGA-P さんのおいしいお話 (2008.11.30)
箸で煮豆などをつまみ、耳元に持っていって声を煮豆から聞いてるジェスチャーをする(笑)
これが、30年近く前ボクが小さかった頃の父の食卓でのネタでした。
母がいつも食卓に並べてくれるのは、メインのおかずはもちろん、梅干し・昆布豆などの小鉢に入った脇役たち。
そんな『脇役も食べてね』とは、『なんでも食べなさい』の意味なのは小さいボクでもよく分かった。
就職し、職場の方と1泊2日の日程で、会議に出席したときのこと。
会議も無事終わり、大広間での食事になった。よくある旅館の夕食スタイルですね。
食事も済ませた頃、同行した方や周りのの方に『キレイに食べたね~(笑)こんなのも食べるんや(笑)好き嫌いないんやね』とボクのお膳を見て言っていろいろ話してた。
周りを見ると、なるほどチョロチョロ残り物がある。
その時、ちょうど『今日はお疲れ様でした』と主催の方がお酒を持って回ってみえた。
『ホンマやね~キレイに食べたね。でもね、ただの「好き嫌いが無い」ってこと以上に意味があるんだよ。』
ボクはピンと来ませんでした。
『なんでしょうか』
その方はニッコリと微笑んでからゆっくりと、
『お膳に出てきたって事は、見てもらいたいからではない。食べてもらいたいって事さ。このお膳を作った人がこれらを食べて欲しいから、出てきてるんだよ。その気持ちに対しての「おいしかったっていう答え」であるとともに、作った人に対しての礼儀としても良いことなんだよ♪』
と話してくれた。
ボクは家に帰って、両親にその日あった事を話した。
『そんなん寂しい食卓やから、小鉢を並べて多く見せてただけやに。恥ずかしいわ(笑)』と母は笑ってたけど、『そう…そんなん言うてくれた人がいてたんや』と父がぼそりと呟いたのがとても印象的やった。
ボクは両親への感謝の想いで涙が浮かんできた。
HIGA-Pさん、いつもありがとうございます。食べ物を残さない事、それはもったいないという考えだけじゃない、作り手への感謝の気持ちでもあるんだと、その気持ちが詰まったお話ですね。以前、尊敬する先輩が『食事の仕方でその人となりが見えることがある。』とおっしゃった事を思い出しました。