東京都 バンディ さんのおいしいお話 (2011.10.18)
夢一つ、ボストンバッグ一つで上京して早8年。
右も左もわからないまま最初に勤めた先は、築地市場の漬け物屋さんだった。
たった5坪の小さなお店。
しかしその正体は年商数億円を売り上げる、殺人的忙しさのお店。
毎日毎日必死で働いているうちに、一つ妙な事に気づいた。
隣近所のお店とまったく交流がないのである。
だが理由はすぐにわかった。
自分の店は大繁盛しているだけに、昔っからの“殿様商売”。
こちらから交流を持つ事はまずないし、周りも関わろうとしない。
なんとなく“もったいないなぁ”と心の奥で思っていた。
ある日仕事も一段落して休憩していると、隣の“塩屋”の大将が外のイスに座ってタバコを吸っていた。
なんといってもこの大将、見た目はご近所一の極悪っぷり。目が合っただけで襲われそうである。
でもこのとき、自分は何を思ったのか
“今日はいい天気ですね”と知らぬ間に話しかけていた。
すると大将、きっとうちの店のスタッフに話しかけられるのも本当に久々のことであったのだろう、少しビックリしたような顔をしたのち“そうだな。おめーさんとこはよ、いつもやかましいな。”
ちゃっきちゃきの江戸っ子訛り。なんか気持ちいい。
いろいろと話をしてるうちに、本当はとても優しい人なんだと気づく。
以前から“塩”に関して持っていた疑問をここぞとばかりに聞いてみた。
“最近は本当にいろんな種類の塩が出回ってますが、どうやって使い分けたらいいんですか?”
すると大将
“そりゃおめー、細かく言ったらキリがねぇけどよ。要は“海の食材には海塩、陸の食材には岩塩使ってりゃ間違いねぇよ。”本当にシンプルでわかりやすい答えだった。
人も食材も決して“見た目”で判断してはいけない。
それぞれの“いい塩梅”を見極めることによって、自分の人生がもっともっと豊かになる。
築地で働いた5年半は本当にいろんなことを学んだ。
その築地を離れて早3年。
大将は、ボクの誕生日に極上の食材を毎年かかさず送ってくれる。
バンディさん、投稿ありがとうございます。人も食材も決して“見た目”で判断してはいけない、いい言葉ですね。ちょっとした、さじ加減(塩加減?)で人や食を深く理解する事ができたらステキですね。